ハンゲショウ(半夏生)は、夏至を過ぎたころに白い小さな花を穂状に咲かせます。
暦(七十ニ候)の上での「半夏生」は、毎年7月2日ごろを指していいます。
暦というのは、四季の様子を表わしたもので、「二十四節気」とか「雑節」などと呼ばれているものです。
二十四節気では、「夏至」や「立秋」、「春分」などよく耳にする言葉かと思います。
これは、1年を24分にした季節の目安ですが、「七十二候」はさらに細かく1年を72分した単位(約5日間)を示す言葉です。
つまり、「半夏生」は夏至から11日目くらいの、太陽黄経がちょうど100度になる日から5日間くらいの期間のことをいいます。
「半夏生」は、昔から農家にとって大事な節目となる日とされ、この日までに畑仕事や田植えを終える目安とされて来ました。
「チュウ(夏至)は外せ、ハンゲ(半夏生)は待つな」という諺もあり、田植えは夏至が済んでから半夏生に入る前に終えることが好ましいとされていたとのことです。
さて、今回は暦の半夏生のころに花を咲かせるという「ハンゲショウ」のご紹介です。
ハンゲショウ(半夏生)について
ハンゲショウの名前は、暦の半夏生のころに花を咲かせることに由来するという説があります。
また、ハンゲショウは、葉が付け根から先端にかけて白くなり、先端の方に緑色を残したままの状態であることから「半化粧」とする説もあります。
他にも、ハンゲショウは、葉の片面(表面)だけが白く変化することから「カタシログサ(片白草)」と呼ばれることもあります。
なお、「半夏生」は、「半夏(はんげ)」という草が生える頃(半夏生ずる頃)という意味であり、「半夏(はんげ)」とは「カラスビシャク(烏柄杓)」から採れる生薬のことであってハンゲショウとは関係がありません。

ハンゲショウ(半夏生)と半夏(ハンゲ)の薬効
ハンゲショウは、ドクダミ科の野草で、葉や茎を傷付けるとドクダミのような匂いがします。
ハンゲショウは、民間療法ではメチルニノールケトンなどの有効成を含んでいるため薬効があるとされ、利尿作用などに効果があるとされています。
利尿には、乾燥したハンゲショウの葉を煎じて服用をし、腫れ物には葉の煎じ液で患部を洗ったり、生の葉に少量の食塩を入れて擦りつぶしたものを患部に塗布して用います。
一方、カラスビシャクから採れる半夏(はんげ)は、生薬で鎮吐作用のあるアラバンを中心とする多糖体を多く含んでおり、「半夏湯(はんげとう)」「半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)」などの漢方方剤に配合されています。
またサポニンを多量に含んでいるため、痰切りやコレステロールの吸収抑制効果があるとされ、かつてはつわりの生薬としても用られて来ました。
「小半夏加茯苓湯(しょうはんげかぶくりょうとう)」という漢方薬は、吐き気や嘔吐をおさえて体を楽にし、胃に水分が停滞しているような時に向いているとのことです。
ハンゲショウの花言葉
ハンゲショウの花言葉は、「内に秘めた情熱」「内気」です。
花言葉の意味は、ハンゲショウには花びらが無いにもかかわらず、葉を白く変化させる様子に由来するといわれています。